ぼくの音楽癖はなかなか偏ったまま生きてきてしまいました。
高校生の時にとKoRnと出会ってからというものの、重い・太い・強い音楽こそ正義!と言わんばかりに、インターネットとCDショップをあさり、自分の信じる音楽道を掘り進んできました。
その結果、いや反動ともいえるのかもしれませんが、自分の嗜好と異なる音楽はどうしても手に取る優先順位が下がってしまい、かなりのいい音楽に知らずに過ごしてきてしまったところがあると思います。その中には定番中の定番、王道中の王道も数多く含まれていると思います。
いやわかっているんですよ。売れてたり、有名になるにはそれなりの理由があって、多くの人が認めたからこそセールス的に成功しているし、聴いたらきっと良いんだと。
だけどもね、、そこに目もくれず知らずにきてしまったんですね。
けど、こういう人って結構いるんじゃないかなっと思っていて。
自分の好きなジャンルやアーティストは掘り下げるけど、あまり興味がない(なかった)ジャンルとかって、「どうせ〇〇みたいなイメージで自分とは合わないだろうなー」みたいな先入観があって、売れてたり有名だったりしても食指が動かなかったりしますよね。
それがあるとき、何かのタイミングで今まで興味のなかった領域の音楽を聴くこととなり、その素晴らしさ気がつくときがあるんです。
そしてそこにあるのは、感動なんですよ。あの目の前の霧がサッと晴れたときのような感覚。
その時、「ああ、なぜおれはいままでこれを聴かずに平気で生きてこれたんだ…」と後悔さえしますね、ええ。
ということで、個人的に自分の好きなジャンルとは違ったんだけど、それを抜きにしても、聴いたら「これはいい音楽だ!出会えたことに感謝!」と言いたくなった音楽を紹介したいと思います。ちなみに、洋楽多めです。
ジャンルに関係なくオススメしたい音楽
今回紹介するのは、もともとのぼくはヒップポップ、激しいロック、ダンスミュージックを好んで聴いていたので、それ以外のジャンルが多いです。ぼくの新しい扉を開いた人たちです。
好きな人からすればめちゃめちゃメジャーやんけ、と思うかもしれませんが、意外と名前だけで聴いたことないっていう人多いんじゃないですかね。これを機会に是非聴いてみてください。
MGMT『Oracular Spectacular』
このCDを渋谷のTSUTAYAで借りたことは覚えてるのですが、どうして手にとろうとしたのかはあまり記憶が定かではなく…。たぶんこの時、心が疲れていてやさしいピュアな音楽に触れたかったのかもしれません。
その考え通り、とてもピュアで心地良い印象のあるアルバムでした。いままでぼくが好んで聴いていた音楽性とはまるで違うのですが、それでも「これ素敵じゃん…」としみじみ思ったものです。多幸感ですね。
ドリーミーで浮遊感を感じる音色は、ぜひとも自然の中で聴きたくなります。フジロックフェスティバルに出演した時にそのステージが入場規制になったというのもうなずけます。
Coldplay『A Head Full Of Dreams』
多幸感といえばColdplay。
言わずと知れたビッグバンドです。彼らの長いキャリアのなかで多くの名曲、アルバムを残してきました。有名なものではViva La VidaやIn My Place、Paradiseなど数え切れないほどで、このぼくでも知ってるくらい。メディアでもよく使われますよね。
Coldplayが好きな人からみれば、なぜそのアルバム?他にもあるだろ?と思うかも。
ぼくがこの比較的新しいアルバムを選んだのは、ぼくが初めてちゃんとColdplayの作品を通して聴いたのがこれで、なおかつこのアルバムのツアーで初めて彼らのライブを見たという思い出深い1枚だからです。
もともと奥さんがColdplayが好きで、ぼくは食わず嫌いというかあまり聴いていなかったですが(ぼくの心が汚いからColdplayのような音楽が響かないんだ、と言われたことも)、去年彼らのライブに行く機会に恵まれました。
場所は東京ドームだったのですが、そのライブが素晴らしく感動しました。歌ウマい!素晴らしい演出!
いやホント、それからColdplayを好んで聴くようになったのですが、このアルバムは1枚通して聴きやすくて良い1枚だと思います。
いい名曲が多いですね〜、Coldplayは。
fun.『Some Nights』
曲を聴いたことある人は多いかと思います。
最近名前を聴かなくて、一発屋感は否めませんが、、とても素晴らしい1枚だと思います。歌って楽しいんだな!って思わせる作品でした。
このアルバム自体、セールス的に大成功した、ザ・いいアルバムなんです。それに加えて、ぼくはフジロックフェスティバルで生で彼らのライブをみたんですが、マジか!?って疑うほどボーカルのネイトの声が響くんですね。
それにキャッチーな曲でオーディエンスの僕たちもついつい一緒に歌いたくなる、そんな双方向的なライブでとても楽しかった記憶があります。自然のなかで大合唱、最高でした!あの年のフジロック行けてよかった!
激しくなくても、重低音じゃなくても、音楽って楽しい…としみじみ荒んだ心を解きほぐすような1枚です。
Bob Marley『One Love: The Very Best of Bob Marley』
ライブをみてそのアーティストを好きになる、という経験はままあるかと思いますが、もう生で見ることが叶わない人もいます。
このレゲエの神様ことBob Marleyもその1人です。
もともとぼくはHIPHOPなどのブラックミュージックが好きでったので、レゲエもちゃんと有名なものは抑えないと!ということでBob Marleyは聴いていました。
そして数年前、ヨーロッパ一人旅をしていてベルギーのブリュッセルに滞在している時に、夕方、街中で一人の黒人ストリートミュージシャンがずっとBob Marleyの曲を歌っていたんですね。マイクとアコースティック・ギターのみで。
その人はすごく歌がウマかったのもあるけど、やっぱり世界的にBob Marleyって有名なのでだんだん周りにオーディエンスも増えてきて、最後には大合唱にまでなりました。代表曲である『One Love』『No Woman,No Cry』はみんなそらで歌えるんですね。
その空間がめちゃくちゃピースフルで、世界各国からきた旅行者が歌で1つになる体験にとても感動してしたのを覚えています。
▲街の広場がBobの歌で一体に。
ということで、レゲエって肌を黒く焼いたドレッドヘアの世捨て人みたいな若者が聴く音楽だなんて思わないで、Bob Marleyはぜひ教養の一つとして聴いてみてください。音楽としても素晴らしいです。
ちなみにBob Marleyの音源ってたくさん出てて、ベストアルバムを紹介するのもどうかと思ったけど、これが一番有名な曲がギュッと入ってて聴きやすいと思いましたので。
Common『Be』
HIPHOPが好きじゃない人にもぜひ聴いてみて欲しいです。
これから洋楽のHIPHOPを聴いてみたいけど何から聴けばわからん、という人がいたらオススメしたいです。
このアルバムが出たのはぼくが高校生の時でした。学校の帰りに地元のCD屋で買って、ウキウキしながプレイボタンを押したその瞬間、1曲めの「Be」のイントロが流れた瞬間「なんじゃこりゃ〜」と卒倒しそうになった記憶があります。いやニュアンスがちょっと違うな。こう、最初っから名作臭がビンビンするんですよね。すごいものに出会っちまった!的な。
このアルバムのプロデュースはいまやHIPHOP長者のKanye Westさんなんだけど、当時ちょうど売れっ子になっていった途中で、その1ステップがこのアルバムだったと思います。
とにかく音が温かくて、柔らかくて、心地いい。そこにベテランラッパーCommonのインテリなラップがのってそりゃ名盤ですわ、と。
ヒップホップというとオラオラなイメージ(だいたい正しい)がある人にこそ聴いて欲しい1枚です。
Weezer『Weezer』
たしか初めて聴いたのは大学1年生のときで、同じクラスの陽介が貸してくれた。(陽介、元気かな)
それまでWeezerというバンドは名前は聴いたことあるくらいだったし、ぼくはロックは好きだけど、なかでも陰鬱で激情的なものが好みなので、たぶん好みじゃないだろうなという勝手なイメージがあった。
WikipedediaのWeezerの項を見ても、ジャンルはパワーポップとあり、件のこのアルバムのジャケットも普通のアメリカン男子が4人写っているだけで、当時毒々しさを求めていたぼくとは反対にあるバンドかあ…と思っていたが、一聴してそのイメージがひっくり返されました。
ぼくのイメージとかけ離れた、骨太な歪んだギターサウンドがそこにはありました。ゴリってるじゃないか、と。全然聴けるじゃん、と。
けどどこか切なくて、安い言葉なるかもだけどエモくて、聴き入っちゃう。ロックはって苦手なんだよな、って人にも聴いてほしいなって思います。
もし中学生に「洋楽のロックでなにから聴けばいいですか?」と聴かれたら、オススメしたい1枚かもしれないですね。
余談ですが、まさかこのアルバムに出会った数年後にWeezerのことが大好きな女性と結婚することになるとは。はは。
James Blake『James Blake』
これは他の「いい音楽と出会った!!」というのとはちょっと違うかもしれない。
このアルバムが出た当時、タワレコとかでめちゃめちゃプッシュされていて、ネットでもよく目にしていたんだけど、最初イマイチなにが良いのかわからなかったんですね。それが悔しくて、悔しくて。
がんばって聴き続けてたんですが、ある時金曜日の夜だったか、体をフルにリラックスさせて頭を空っぽにしてソファに横たわりながらこれを聴いたら、とても"気持ちよくて"。
ささやくようなボーカルと音数の少ないトラックが、頭の中をなぞるような感じ。
こういう聴き方もあるのかーって思った瞬間でした。(James Blake本人が求めてる楽しみ方かどうかは知らない)
あともう一つこのアルバムの聴き方がありまして、、家のスピーカーかイヤホンかはわかりませんが、聴く環境での出せる最大の音量で聴いてみて欲しいです。
「静と動の合間に埋もれた新しい音」が聴こえるかもしれません。
小沢健二『LIFE』
最後は邦楽なんですが。
オザケンこと小沢健二。最近また活動してるみたいで名前をちらほら見かけますね。曲もカバーされたり。
オザケンというと、アラサーのぼくの世代ドンピシャというわけでなくてですね。もっと上の人の世代ですかね。ぼくと同い年でもオザケンのこと知らない人もいると思います。
オザケンを聴いたきっかけというのは、実は「カラオケで歌えるレパートリーを増やしたい」というところからでした。イマドキの曲だと何から手をつけたらいいかわからないし、それならエバーグリーンなものがいいな、ということでオザケンに白羽の矢が立ったわけです。
それまでオザケンの名前だけは聞いたことがあったのですが、実際に聴いてこれはいいアルバムだなーと思いました。
1曲1曲が若者の物語を描いているようです。歌詞にあるような体験をみんな何かしらしてるのかなーなんて思ったり。歌詞とか言葉から感じる時代の古さはあるかもしれないけど、このアルバムが発売された90年代も今も若者の心の根っこの部分は変わらないのかもしれませんね。
昔の人の曲なんて思わずにぜひ手にとってみて欲しいです。むしろ最近JPOPから遠ざかってる人に。
時代や流行で変わらないものがそこにはあるような気がします。
さいごに
何を今さら言っとるんだ君は、と叱責を受けそうなラインナップではありますが、それでもこの中で聴いたことないものがあれば、是非食わず嫌いをせずに聴いてみてください。きっと素晴らし音楽体験が待っているかと思います。
これらに限らず世の中にはまだまだ知らないいい音楽が溢れているので、広い視野を持って多くの音楽に接することが大事ですよね。どれが自分の価値観を押し広げるかわからないですよ。
今回ご紹介したなかで、一つでもあなたの心の新しい扉を開くものがあればぼくは嬉しいです。