先日、名古屋にあるオーディオ機器・DJ機器を販売している企業、オタイオーディオ/オタイレコードからこんなプレスリリースがでた。
社員のワークライフバランス向上を目指して、ワンマンスホリデイ制度というのを導入するという。
要約すると、
- 社員が任意の1ヶ月まるまる休暇をとれる(バカンス的な。しかも有給)
- 年間休日が136日に(製造業と同水準)
- 休暇中でも会社のためになることなら補助金も
だそうだ。いいなあ、バカンス。
音楽、ファッション、飲食…人気業界ほどワークライフバランスが乏しい?
今回オタイオーディオ(ちなみにぼくはオタレコことオタイレコードのほうが馴染みがある)の社長さんがこの制度を導入しようとした背景には、オーディオ機器含めた音楽業界の不況と、そこに従事する人たちの境遇の厳しさがあるという。
ネットの普及でCDが売れなくなるなど音楽業界が寂しくなってきてる感はあるけど、それよりも昔からよく言われてきたのって、音楽をはじめ美容・ファッション、飲食なんかの業界で働く人の待遇の悪さだよね。
付き合っちゃいけない3Bの男つって、バンドマン・美容師・バーテンダーとか揶揄されたり。これはちょっと違うか。
それぞれ華やかで楽しそうな業界だからだと思うんだけど、「好きなことやってるんだから激務・薄給くらい我慢しろ」って、それってどうしようもないことなのか?しょうがないと諦めるしかないのか?
それもどこかおかしな話だよなあ。
そうしたなんか残ってる世の中の諦観みたいなものに一石を投じたのが今回のオタイオーディオだった。
停滞は退行?
制度の良し悪しは一旦横に置いといて、今回のオタイオーディオのように業界の慣習と決め込んで「そういうもんだから」といって何もしないのではなく、「もっとみんながハッピーになる方法はないか」を考え実行する企業はかっこいい。
なにかを変えるというのは大変だ。今のままで済むなら、黙ってそのままにしておく方が楽だろう。
ちなみにぼくなんてそんなことばっかりだ…
仕事とかでもたいてい先延ばしにてることって、その時は目を瞑ってやりすごせてたことも、いつかはそのしっぺ返しがくるんだよなあ。
音楽業界も、これまでは夢や希望を買い叩いて得た安い労働力でなんとかしてた(なってた)かもしれないが、この先も同じようなやり方でいくと、おそらく業界内の人口は減っていき、業界(シーン)自体が小さくなっていくのは想像に難しくない。
停まっていることは、むしろ坂道を下っていることになりかねない。
変えていこうと考え、行動に移す人がいれば後に続くのでは
現状を理解し、それを変えていこうという人がいるなら、それを応援していきたいと思うだけだ。
しかもオタイレコードといえば、DJをやる人なら知らない人のほうが少ないんじゃないかな。そんな有名企業がこうやって世間に公表し、業界の慣習にメスをいれることは、必ず競合や周囲の企業への刺激になる。
そうすれば、音楽業界の次なるオタイオーディオというか、うちもやるぜ!っていう企業も出現するかもしれない。
ぼくは経営者じゃないので実感したことはないが、自身の利益のことだけでなく、社員や業界のことを広い視点で考え、行動した結果として事業の成功につながるというのは多くの経営者が言っている。
オタイオーディオも今後はバカンス帰りの経験値モリモリのスタッフが質の高いサービスを提供し、そうして回り回って、不況と言われて久しいミュージックビジネス業界においても報われてほしい。
ぼく自身音楽が好きだから、やっぱり楽しく働く人たちで支えられてる業界であってほしいよなあ。
私どもの楽器やオーディオ販売、DJ、レコード販売はお客様に対して夢を売る商売です。
お客として接客を受けるのでも、楽しいことを知っている人から買いたいと思うし、高級なスピーカーも一流の生演奏をしっかり聞いている人から買いたい。